中国の新興EVブランドが今後も続々と日本市場に参入してくるのか?どのメーカーが?【カープレミア編集長のEV談義Vol.10】

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おかげさまで「カープレミア編集長のEV談義」が第10回を迎えました。筆者が特に注目しているEVシフトについて調べたこと、取材したことをつらつらと書き続けてまいりました。ありがたくも読者から、いくつかご質問をいただきました。今回は、その中から、中国の新興ブランドの日本市場参入についてのご質問にお答えします。

中国の新興EVブランドが今後も続々と日本市場に参入してくるのか?どのメーカーが参入してきそうか?

中国の新興EVブランドが“続々と”日本市場に参入してくる可能性は低いと考えています。ただ、日本市場に進出する機会はうかがっていることでしょう。

日本市場でEVを販売(EVでなくともですが)しようとするときに必要なマーケティングから、販売・メンテナンス体制までの構築をしようとすると、相当な資金が必要です。

2021年に中国の電動車メーカー、BYDが日本市場に参入してきました。BYDは今やテスラを抜きグローバルでトップのEV販売シェアを握る一大メーカーですし、元々は携帯電話(いわゆるガラケー時代からの)のバッテリー開発・生産企業だったことから、潤沢な資金力をはじめとする態勢が整っていました。

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2023年1月31日から発売された、BYD「ATTO 3」。価格は440万円と同クラスの国産EVより安い。(画像:BYDジャパン)

ヒュンダイ改めヒョンデ(Hyundai)は韓国のメーカーですが、2010年に日本市場から撤退した後も、研究開発拠点を千葉市印西市に置いており、再度の日本市場参入のための準備を進めて機会をうかがい続け、2022年に再上陸を果たしています。

BYD、ヒョンデは新興EVメーカーではありませんが、日本市場でクルマを売るのは新興メーカーには現時点、ハードルが高いといえます。

ただ“続々と”ではなく、ポツポツと中国のEVメーカー(新興ではなくても)が日本市場に参入する可能性はあります。

2022年10月の日経新聞の報道で、広西汽車集団が2023年に軽商用EVバンで日本市場に参入することを報じています。これは佐川急便が、日本のベンチャー企業「ASF」が開発したEVを中国の広西汽車集団系傘下の五菱に生産委託していることと関係があり、ASFが設計したEVを広西が日本市場で販売する、というストーリーのようです。ただ、BYDやヒョンデのような一般消費者向けに大規模に展開するものではなく、法人向けなどのリース販売などといった小規模な展開になるようです。

ASFが佐川急便と共同開発したEV(画像:ASF)

また、2022年11月に上汽通用五菱が2020年7月に発売、当時の為替レートで45万円の「宏光MINI EV」が日本での生産を視野にいれ2023年に参入することを検討しているという報道もありました。これはまだ検討段階で決定されていませんが、もし、日本市場参入が決まれば、大きな波紋を広げるに違いありません。

※ASFが生産委託する「五菱」と、宏光MINI EVを生産する「五菱」は異なる会社

「宏光 MINI EV」は上海汽車集団と米国GM、広西汽車集団らによって設立された合弁会社「上汽通用五菱」が生産する。通用とは「通用汽車」のことで、ゼネラルモーターズの中国語表記。

ASFが生産委託する軽EVを生産するのは「広西汽車集団」傘下の「柳州五菱汽車」

中国の新興EVブランド御三家の日本進出の可能性は?

中国の新興EVブランド御三家は、2021年のEV販売台数トップ3のNIO(蔚来汽車)、Xpeng(小鵬汽車)、Li Auto(理想汽車)です。

この3ブランドが、すぐに日本市場へ大々的に参入する可能性は低いと思いますが、カーシェアやレンタカーなどのモビリティサービス事業者や、運送業者と提携して狭い範囲で日本市場に進出してくる可能性はあります。

2つの五菱が新たな黒船となって日本へ襲来する可能性が

2022年の動きを見ていると、次に日本市場に進出する中国EVブランドは、2つの「五菱」となる可能性が高いと筆者は見ています。

1つ目の「五菱」は、「上汽通用五菱」の「宏光MINI EV」。これを軽EVとして日本市場に導入するためには、日本の保安基準で必須となる横滑り防止装置をはじめとする、コストがかかる機能・装備を追加する必要があります。しかし、それでも100万円台で実現できるようです。ただ、宏光MINI EVは日本市場で使いにくい3ドア。後席スライドドアの5ドアでかつ100万円台で日本にやってきたら、それこそ黒船襲来となるでしょう。

2つ目の「五菱」は「広西汽車集団」傘下の「柳州五菱汽車」。ASFが開発した軽EVを、広西が日本に工場を造って生産、100万円台で販売するとなると、これも黒船襲来となるでしょう。

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収益性が低い軽EVでビジネスが成立するのか?

軽自動車は車両価格が安く、メーカーにとっては収益性の低いクルマとなります。EVの車両価格の3割あたりがバッテリー部分とされていますので、軽EVだからといって原価率がガソリン車より良くなるとはいえないでしょう。

部品点数はガソリン車よりEVのほうが圧倒的に少なく、ガソリン車が約3万点(数え方によっては10万点とすることもあります)に対して、EVは約1万点です。部品点数の少なさは、生産性の最適化がしやすくなりそうです。

2022年1〜12月の軽自動車総販売台数は、163万8,136台(全軽自協の速報)、2021年1〜12月では、165万2,522台と登録車(いわゆる普通車)を含めたすべて乗用車の新車販売台数の約40%が軽自動車となっています。2022年通年のスズキの軽自動車販売台数は約50万台、ダイハツは54万台、ホンダは30万台でした。

この数を見れば、中国EVブランドが、軽自動車市場に目をつけてもおかしくはありません。軽自動車規格は世界中で日本だけのものですが、アジアをはじめとした市場で軽EVを販売することができます。

このような状況を総合的に見ると、1台あたりの収益性が低い軽EVでも、中国EVブランドが日本市場に参入するメリットはありそうです。

しかし、日本の企業ASFが開発したEVを、中国のメーカーが日本に工場を造って生産するというのは、モヤっとしてしまいますね。100年に一度の大変革期といわれる自動車業界ですから、そんなこともあるのでしょうね。

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