パワステ装置 の故障・不具合一覧

パワステ装置 の故障・不具合の一覧を表示しています。該当の症状を選択して、修理方法を確認しましょう。

※原因は症状から過去の事例を参考にしたもので、不具合の原因を断定するものではありません。
※修理内容は修理工場での作業事例を説明するもので自己修理を推奨するものではありません。

パワステ装置 の故障・不具合について

パワステ装置のイメージ

記事監修:柴 健太郎

プレミアモビリティサービス株式会社 執行役員
一般財団法人日本技能研修機構(JATTO)理事

POINT

  • ゴム製のタイロッドエンドブーツは長期使用による劣化は避けられない。傷んだブーツを放置するとタイロッドエンドが破損する
  • ハーネスに不具合があるとステアリングスイッチが使用できなくなることがある
  • 電動パワステはステアリングコントロールユニットやステアリング舵角センサーなど複雑な制御系やセンサー系によって構成される。不具合を感じたら早急に整備工場にて点検
  • 整備を受ける

傷んだタイロッドエンドブーツを放置していると金属製のボールジョイントが摩耗して修理代が高額化する

パワステ装置の不具合で比較的多いのが、タイロッドエンドブーツの不具合です。タイロッドエンドブーツに不具合があると、ハンドル操作時に「カキ」や「コキ」という異音が生じたり、ブーツ部分からグリス漏れやにじみが発生します。

タイロッドエンドブーツとは、ステアリングホイールの動きをタイヤに伝えるタイロッドエンドを保護するためのゴム製ブーツのことをいいます。長期使用によりタイロッドエンドブーツが劣化すると、ゴミやほこりが内部に侵入し、金属製のボールジョイント保護のために塗られたグリスが雨によって流出するため、ボールジョイントが徐々に摩耗して行きます。

不具合を起こしたタイロッドエンドブーツを放置していると、やがて内部のボールジョイントが摩耗・損傷し、「カタカタ」「コトコト」「カキン」といった異音を発生させ、最終的に焼き付けを起こしてステアリング操作ができなくなることがあります

タイロッドエンドブーツに亀裂やひび割れを発見した場合には、早めに交換する必要があります。

ステアリングスイッチの故障で多いハーネスの不具合

ステアリングスイッチを備えたクルマの場合は、ハーネスに異常があるとステアリングホイールに備わるオーディオコントロールや、運転支援系のボタン操作ができなくなることがあります。

ステアリングスイッチ不具合の原因は、スイッチの接点不良の可能性も考えられますが、ハーネスの断線やカプラーの接触不良の可能性も考えられるため、異常を感じたら整備工場にて点検してください。

電動パワステで注意が必要なステアリングコントロールユニットの故障

近年のクルマの主流となった電動パワーステアリング(EPS)の場合、ステアリングコントロールユニットの不具合にも注意が必要です。

ステアリングコントロールユニットに不具合があると、「ウィーン」という異音やうなり音が発生したり、パワステが重くなったり、電動チルト・テレスコピックが働かずにハンドルが前後に動かなったりするなどの症状が現れ、警告灯が点灯することがあります。

かつてのパワーステアリングは、油圧制御でしたが、2000年代以降のクルマはモーターで操舵をアシストする電動パワステが主流になりました。
電動パワステは、車速や舵角に応じてハンドルの重さを変えたり、必要に応じてアシスト量を変更するなど複雑な制御を行っています。その制御の要となるのがステアリングコントロールユニットです。

また、ハンドル操舵の向きや中立位置などを信号としてステアリングコントロールユニットに伝える、ステアリング舵角センサーが故障した場合にも警告灯が点灯することがあります。

ステアリングコントロールスイッチやステアリング舵角センサーに不具合があった場合は、整備工場にて車載式故障診断装置(OBD)を使用して、故障箇所を診断することができます。

この記事の監修

柴 健太郎

プレミアモビリティサービス株式会社 執行役員
一般財団法人日本技能研修機構(JATTO)理事