乗員保護装置 の故障・不具合について
目次
POINT
- シートベルトは万が一のときの命綱。異常を感じたら直ちに整備工場で点検
- 整備を行う必要がある
- シートベルトキャッチの不具合は摩耗や損傷、接点の不良、異物の混入などが原因で発生することが多い
- エアバッグコントロールユニットはセンサーの集合体。誤作動を起こさないように異常を知らせる警告灯が点灯したら早急な点検修理が必要
- エアバッグコントロールユニットの故障は本体(ASSY)交換で修理するのが一般的だが、パーツの入手が難しい車種の場合は専門業者での修理も可能
シートベルトの不具合は修理の確実性を重視して本体(ASSY)交換で対応するケースが少なくない
乗員保護装置の不具合で最も多いのがシートベルト本体(ASSY)の不具合です。
シートベルト本体(ASSY・アッセンブリー:複数のパーツが組み上がった状態のもの)が不具合を起こすと、シートベルトが「巻き取られない」といった症状が発生します。
シートベルトは乗員を座席に拘束することで、事故の衝撃で車外へ投げ出されることを防ぐためのベルト状の安全装置です。広く乗用車に採用される3点式シートベルトは、ポリエステル素材のベルト、車体への取り付け基部とリトラクター(ベルトの巻き取り装置)、ショルダーベルトアンカー、ベルトを固定する金具のベルトキャッチで構成されています。
シートベルトの不具合は巻き取り装置であるプリテンショナーと固定金具のベルトキャッチの故障がもっとも多く、金属部品の摩耗や損傷、接点の不良、異物の混入によって引き起こされます。シートベルトのポリエステル素材も長期の使用で徐々に劣化していきます。
シートベルトキャッチ内部にゴミが入り込むことで不具合を引き起こすこともある
シートベルトキャッチの不具合は、乗員保護装置の不具合の中でも比較的多いトラブルです。
シートベルトキャッチが不具合を起こすと、シートベルトがロックしなくなったり、シートベルト警告音が止まらなくなるなどの症状が発生し、エアバッグ系やシートベルト系の警告灯が点灯することもあります。
シートベルトキャッチはシートベルトを固定するためのバックルで、ベルトキャッチの内部にはシートベルト先端のタングプレート(金具)が接触することで、シートベルト装着を検知するリードスイッチセンサーが内蔵されています。
ベルトキャッチの不具合は金属部品の摩耗や損傷、接点の不良、異物の混入などが原因となります。ベルトキャッチに問題がなくとも、シートベルト装着を検知するリードスイッチセンサーが故障すると、シートベルト警告灯が点灯したり、警告音が止まらなくなったりすることがあります。
エアバッグコントロールユニットの不具合は安全性に直結するだけに異常があれば直ちに修理を
乗員保護装置の不具合の中でも安全面から注意が必要となるのが、エアバッグコントロールユニットの故障です。
エアバッグコントロールユニットが故障すると、エアバッグ系の警告灯が点灯することがあります。
エアバッグコントロールユニットとは、事故発生時に衝撃から乗員を守るため、内部加速度センサーや外部加速度センサー、ヨーレートセンサー、圧力センサーを用いることで、事故の種類と重大性を瞬間的に判断し、必要に応じてエアバッグとシートベルトテンショナーを展開する電子制御による乗員保護装置のことです。
エアバッグコントロールユニットの不具合は本体の制御機器の故障や基盤の劣化、電源や配線の接触不良や断線で起こります。事故に遭わなければ不都合を感じることは少ないかもしれませんが、万が一の際にはエアバッグコントロールユニットは安全に直結する重要なパーツとなります。