変速ショックが大きい 原因を解決する方法

変速ショックが大きいのイメージ

記事監修:柴 健太郎

プレミアモビリティサービス株式会社 執行役員/一般財団法人日本技能研修機構(JATTO)理事

POINT

  • CVT、トルクコンバーター、メカトロニックユニットが故障すると変速ショックが発生する
  • 劣化したAT/CVTフルードを交換することなく使い続けるとATに致命的な不具合が生じることがある
  • ATフルードは2〜4万km、CVTフルードは4〜5万kmごとに交換することで不具合の発生確率を抑えられる。

【原因】変速ショックが大きくなるのはATやCVTの致命的な故障の前兆

走行中に変速ショックが大きくなるのは、CVT(無断変速機)、トルクコンバーター、ATフルード、メカトロニックユニット(ATバルブボディを含む)の不具合が主な原因です。

CVTは、一般的なMTやステップ式AT(トルクコンバーターと自動変速機で構成されたAT)とは異なり、ギア(歯車)の代わりに金属ベルトで連結させたふたつのプーリーの直径を変化させることで駆動力の減速比を変えるATのことです。

トルクコンバーターは、ステップ式ATに採用されたトルク増幅機能を持つ流体クラッチのことです。

その内部構造はATフルードで満たされたドーナツ型の容器(フルードカップリング)の中に2枚の羽根車が入っており、いっぽうがエンジン、もういっぽうがトランスミッションに接続されています。

エンジンから動力が伝わるとエンジン側の羽根車が回り、ATフルードの粘性を利用してトランスミッション側の羽根車が回り動力を伝達させる仕組みです。

ATフルードは、ステップ式ATのクラッチ操作やギアチェンジを自動で行うための作動油兼潤滑油のことです。

メカトロニックユニットは、油圧を制御するATバルブボディと油温センサーやギアポジションセンサーなど制御を行うコンピューター基盤が一体になったパーツで、AT本体の中に内蔵されています。

メカトロニックユニットの内部構造は、迷路のようにオイルの流入経路が張り巡らされ、油圧を制御する多数のバルブで構成されています。

この流入通路をATフルードが流れることで変速操作を行います。

【解決方法】定期的なAT/CVTフルードの交換で致命的なトランスミッションの故障を防ぐ

無断変速であるはずのCVTに変速ショックが発生する原因はCVTフルードの劣化です。

長期間CVTフルードを交換しないと、潤滑性能や粘度・温度特性を失うだけでなく、CVT内部にスラッジが溜まって本来の性能を発揮できなくなるばかりか、誤作動を引き起こすことに繋がります。

CVTはデリケートなメカニズムのため、走行距離が10万kmを超えると、DレンジやRレンジに入れた際にショックが出たり、走行中に異音や振動が出たり、アクセルペダルを踏んでエンジン回転が上がるのに、十分な加速が得られず、クルマが進まなくなったりするなど不具合を発生させることがあります。

不具合が出た場合はCVT 本体(一式)交換が必要になる場合があります。

トルクコンバーターは滅多に壊れるパーツではありませんが、メーカー指定のATフルードの交換サイクルや指定粘度を守らなかったり、フルードの交換時にゴミなどの異物が混入すると、変速ショックが出たり、誤作動を起こしたりします。

トルクコンバーターが故障した場合は、整備工場にて新品への本体(一式)交換を行うことになります。

メカトロニックユニットは走行距離が増えると徐々にATフルードの流入通路にスラッジが溜まって行き、シフトショックの増大や誤作動を引き起こす原因となります。

不具合を未然に防ぐには定期的なATフルードの交換が望ましいのですが、深刻な不具合が発生した場合には、メカトロニックユニットの本体(一式)交換が必要になります。


(山崎 龍)

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※修理内容は修理工場での作業事例を説明するもので自己修理を推奨するものではありません。

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