変速ショックが大きい 原因を解決する方法

POINT

  • CVT、トルクコンバーター、メカトロニックユニットが故障すると変速ショックが発生する
  • 劣化したAT/CVTフルードを交換することなく使い続けるとATに致命的な不具合が生じることがある
  • ATフルードは2〜4万km、CVTフルードは4〜5万kmごとに交換することで不具合の発生確率を抑えられる。

【原因】変速ショックが大きくなるのはATやCVTの致命的な故障の前兆

走行中に変速ショックが大きくなるのは、CVT(無断変速機)、トルクコンバーター、ATフルード、メカトロニックユニット(ATバルブボディを含む)の不具合が主な原因です。

CVTは、一般的なMTやステップ式AT(トルクコンバーターと自動変速機で構成されたAT)とは異なり、ギア(歯車)の代わりに金属ベルトで連結させたふたつのプーリーの直径を変化させることで駆動力の減速比を変えるATのことです。

トルクコンバーターは、ステップ式ATに採用されたトルク増幅機能を持つ流体クラッチのことです。

その内部構造はATフルードで満たされたドーナツ型の容器(フルードカップリング)の中に2枚の羽根車が入っており、いっぽうがエンジン、もういっぽうがトランスミッションに接続されています。

エンジンから動力が伝わるとエンジン側の羽根車が回り、ATフルードの粘性を利用してトランスミッション側の羽根車が回り動力を伝達させる仕組みです。

ATフルードは、ステップ式ATのクラッチ操作やギアチェンジを自動で行うための作動油兼潤滑油のことです。

メカトロニックユニットは、油圧を制御するATバルブボディと油温センサーやギアポジションセンサーなど制御を行うコンピューター基盤が一体になったパーツで、AT本体の中に内蔵されています。

メカトロニックユニットの内部構造は、迷路のようにオイルの流入経路が張り巡らされ、油圧を制御する多数のバルブで構成されています。

この流入通路をATフルードが流れることで変速操作を行います。

変速ショックが大きいのイメージ

【解決方法】定期的なAT/CVTフルードの交換で致命的なトランスミッションの故障を防ぐ

無断変速であるはずのCVTに変速ショックが発生する原因はCVTフルードの劣化です。

長期間CVTフルードを交換しないと、潤滑性能や粘度・温度特性を失うだけでなく、CVT内部にスラッジが溜まって本来の性能を発揮できなくなるばかりか、誤作動を引き起こすことに繋がります。

CVTはデリケートなメカニズムのため、走行距離が10万kmを超えると、DレンジやRレンジに入れた際にショックが出たり、走行中に異音や振動が出たり、アクセルペダルを踏んでエンジン回転が上がるのに、十分な加速が得られず、クルマが進まなくなったりするなど不具合を発生させることがあります。

不具合が出た場合はCVT 本体(一式)交換が必要になる場合があります。

トルクコンバーターは滅多に壊れるパーツではありませんが、メーカー指定のATフルードの交換サイクルや指定粘度を守らなかったり、フルードの交換時にゴミなどの異物が混入すると、変速ショックが出たり、誤作動を起こしたりします。

トルクコンバーターが故障した場合は、整備工場にて新品への本体(一式)交換を行うことになります。

メカトロニックユニットは走行距離が増えると徐々にATフルードの流入通路にスラッジが溜まって行き、シフトショックの増大や誤作動を引き起こす原因となります。

不具合を未然に防ぐには定期的なATフルードの交換が望ましいのですが、深刻な不具合が発生した場合には、メカトロニックユニットの本体(一式)交換が必要になります。


(山崎 龍)

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変速ショックが大きい の原因一覧

変速ショックが大きい の故障・不具合の症状一覧を表示しています。該当の症状を選択して、修理方法を確認しましょう。

※原因は症状から過去の事例を参考にしたもので、不具合の原因を断定するものではありません。
※修理内容は修理工場での作業事例を説明するもので自己修理を推奨するものではありません。

5
  • CVT本体(一式)不具合

    よくある度:

    星3
    • 異音
    • 警告灯点灯
    • 走行できない
    • 加速が悪い
    • 加速時振動する
    • 変速ショックが大きい
    • 振動と変速不良
    • 走行中失速する

    CVT ASSY(アッセンブリー:複数の部品が一式組み合わせられた状態のもの)が故障すると、変速ショックが大きくなり、ガラガラやゴロゴロという振動と加速不良(加速時に振動する、加速が悪くなるなど)、異音(ウィーンといううなり音)、走行中に失速するなどの症状が現れます。そして、最終的にはアクセルを踏んでも後退はしても進まない、走行できない状態に陥りますが、警告灯の点灯により異常を知らせてくれます。CVTはエンジン系からの動力を適切な駆動力へと変換し、ドライブシャフトへと伝達するミッション系部品のひとつです。車体下部から見るとエンジンに接続されており、まゆ型の本体に補機部品を備えた複雑な形をしています。内部構造は対となるふたつのプーリーとそれらをつなぐ金属製ベルトで構成されており、プーリーの直径を変化させることで無段階に変速させます。寿命は車種や使用状況にもよりますが、国産車の場合はおおよそ10?20万km以上とされています。

  • A/Tフルード不具合

    よくある度:

    星2
    • 異音
    • 警告灯点灯
    • 走行できない
    • 変速ショックが大きい
    • 滑る感じがする

    トルコン式ATのATフルードに不具合があると、異音(うなり音)が発生し、滑るような感じがして変速ショックが大きくなり、作動不良を起こして走行できなくなることがあります。異常が発生すると警告灯が点灯することで知らせてくれます。外からAT本体を見ると円筒型もしくは箱型の形状をしており、その内部構造はドーナツ型の容器の中に2枚の羽根車が入っていて、いっぽうがエンジン、もういっぽうがドライブシャフトに接続されています。エンジンから動力が伝わるとエンジン側の羽根車が回り、ATフルードの粘性を利用してトランスミッション側の羽根車が回って動力を伝達させる仕組みです。ATフルードはクラッチ操作やギアチェンジを自動で行うための油で、同時に潤滑油としての役割を担います。ATフルードの交換を不要とする車種もありますが、おおむね2〜3万kmごとの交換が推奨されています。

  • トルクコンバーター不具合

    よくある度:

    星1
    • 異音
    • 警告灯点灯
    • 走行できない
    • 加速が悪い
    • 加速時振動する
    • 変速ショックが大きい

    AT本体は円筒型や箱型の形状をしており、その内部に、ATフルード(ATF)が満たされたトルクコンバーターがあります。トルクコンバーターはドーナツ型をしており、その中に2枚の羽根車が入っています。その羽根車のいっぽうがエンジン、もういっぽうがトランスミッションに接続され、駆動力をトランスミッションに伝達しています。トルクコンバーターが故障すると、Dレンジに入れた直後にドスンという振動が発生したり、加速が悪くなったり、加速中に振動が発生したりします、また、後退できなかったり、うなり音や「ギャギャ」といった異音が発生することもあります。最悪のケースでは、エンジンブローを引き起こし、走行不能となることがあります。なお、特に症状がなくてもトルクコンバーターに不具合があった場合は、警告灯が点灯することがあります。トルクコンバーター自体の寿命はクルマよりも長く、なかなか壊れにくいパーツのひとつとなっています。

  • A/Tクラッチ不具合

    よくある度:

    星1
    • 警告灯点灯
    • 加速が悪い
    • 加速時振動する
    • 変速ショックが大きい
    • スムーズに変速しない

  • メカトロニックユニット不具合

    よくある度:

    星1
    • 異音
    • 警告灯点灯
    • 変速ショックが大きい
    • スムーズに変速しない

    トランスミッション・メカトロニックが不具合を起こすと「ガガガ」という異音が発生し、スムーズに変速しなくなったり、変速ショックが大きくなったりして、ミッション系の警告灯が点灯することがあります。 トランスミッション・メカトロニックとは、ATのアウトプットシャフトセンサーや油圧センサー、各ギアのポジション、クラッチコントロールなどを検知してトランスミッションの変速制御を行う機器です。 メカトロニックユニットとは、油圧を制御するATバルブボディと油温センサーやギアポジションセンサーなど制御を行うコンピューター基盤が一体になったパーツで、AT本体の中に内蔵されています。 メカトロニックユニットの寿命は車種や使用状況によっても異なりますが、一般的に10万km以上は使用できます。

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