クラッチが滑る 原因を解決する方法

クラッチが滑るのイメージ

記事監修:柴 健太郎

プレミアモビリティサービス株式会社 執行役員/一般財団法人日本技能研修機構(JATTO)理事

POINT

  • クラッチの滑りはクラッチカバー、クラッチディスクの不具合が主な原因となる
  • クラッチは消耗品なので走行距離が伸びるとクラッチが滑るだけでなく、異音や振動を発生させることがある
  • クラッチの滑りを感じたら工賃節約のためクラッチカバー、クラッチディスク、レリーズベアリングをセットで交換する

【原因】クラッチの滑りはクラッチを構成するパーツの不具合が原因

走行中にクラッチが滑るのは、クラッチカバー、クラッチディスクの不具合が主な原因となります。

クラッチは、MT車の動力伝達を司るパーツのことで、クラッチディスク、クラッチカバー、レリーズベアリングの3点からなり、クルマの発進・停止・変速時にエンジンで生まれた動力をトランスミッションへと伝達・遮断を行います。

クラッチカバーは、クラッチを構成するパーツのひとつで、クラッチディスクを間に挟んでフライホイールに装着し、エンジンからの動力の伝達と遮断を行います。

乗用車に広く普及した乾式単板クラッチの場合、クラッチペダルを踏むとクラッチカバーの内周にあるダイヤフラムスプリングが動くことで荷重を解放し、クラッチスプリングの力を利用してプレッシャープレートからクラッチディスク本体を浮かせることで動力の伝達・遮断をします。

クラッチディスクは、クラッチを構成するパーツのひとつで、エンジンからの動力をトランスミッションに伝える摩擦板のことです。

クラッチディスクは動力を伝える摩擦材の上に接続を滑らかにするクッショニングスプリングが装着され、ディスク内側には駆動系の振動や騒音を低減するトーションスプリングとフリクションワッシャーが配されており、センター部分にはトランスミッションへ動力を伝えるハブスプリングが備えられています。

レリーズベアリングとは、クラッチを構成するパーツのひとつで、ダイヤフラムスプリングを引き上げてクラッチを切り、エンジンからの動力の伝達・遮断に使用されます。

【解決方法】クラッチディスク、クラッチカバー、レリーズベアリングは一緒にまとめて交換する

クラッチカバーにクラッチが滑る原因がある場合は、長期の使用でダイヤフラムスプリングが本来の機能を失い、クラッチディスクを押し付ける力が弱まったことが考えられます。

クラッチディスクにクラッチが滑る原因がある場合は、クラッチディスクの摩擦板の磨耗により、十分な摩擦を得られずに動力の伝達・遮断ができなくなったことが疑われます。

消耗品のクラッチは走行距離が増加することで、クラッチカバー、クラッチディスク、が同時に不具合を起こすことが珍しくはありません。クラッチの滑りには直接関係はありませんが、レリーズベアリングも劣化により異音が発生することがあります。

そのような場合は個別に不具合箇所を交換せず、工賃節約のためにクラッチカバー、クラッチディスク、レリーズベアリングを一緒に交換することが推奨されています。

(山崎 龍)

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※修理内容は修理工場での作業事例を説明するもので自己修理を推奨するものではありません。

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