加速しない(坂道が登りにくい) 原因を解決する方法
POINT
- 坂道が登りにくく加速しない不具合はトルクコンバーターの不具合が疑われる。
- 故障の頻度は高くはないが、ATフルードの定期的な交換を怠ったり、指定粘度を守らなかったり、フルードの交換時に異物が混入するとトルクコンバーターは不具合を発生させることがある。
- トルクコンバーターの不具合はATフルードの交換で直ることもあるが、トルクコンバーター本体一式の交換が必要になることもある。
- AT車ではなくCVT車の場合も同様で、作動油の定期交換を怠ると内部にスラッジが溜まると故障の原因となり、CVT本体一式の交換が必要になることもある
トルクコンバーターの不具合が疑われる
AT車で坂道が登りにくく加速しなくなった場合は、トルクコンバーターの不具合が疑われます。
トルクコンバーターとは、AT(オートマチック・トランスミッション)本体に内蔵されたトルク増幅機能を持つ流体クラッチのことで、形状はドーナツ型をしており、内部には2枚の羽根車が入っています。その羽根車のいっぽうがエンジン、もういっぽうがトランスミッションに接続され、駆動力をトランスミッションに伝達しています。
トルクコンバーターの不具合はそうそうあることではありませんが、ATフルード(ATF)の定期的な交換を怠ったり、指定粘度を守らなかったり、フルードの交換時に異物が混入したりすると、登坂時の加速性能の低下などのトラブルを生じることがあります。トルクコンバーターの不具合をそのまま放置していると、やがてATが変速不能になって走行できなくなる恐れがあります。
また、国産の軽自動車やコンパクトカーに多いCVTに同様の不具合が発生したときは、CVT本体の不具合が考えられます。ギアの代わりに金属ベルトで連結させたふたつのプーリーのベルトのはまる溝の位置を変化させることで無段階変速を行うCVTが、潤滑油の定期交換の怠りなどの原因で内部機器が故障すると、走行中にアクセルペダルを踏んで加速しようとしても十分に加速せず、失速する「滑り」と呼ばれる症状が生じることがあります。
ATフルードの交換で不具合が改善されないときは、トルクコンバーターの交換
坂道が登りにくく加速しない症状が現れたときは、走行不能などの深刻なトラブルに発展する前に、なるべく早く整備工場に入庫し、適切な点検・修理を受ける必要があります。
トルクコンバーターの不具合は、初期症状のうちに新しいATフルードに交換することで加速性能や登坂性能が回復することもあります。しかし、ATは精密機器であることから、長期間ATフルードを交換していないクルマでは、ATフルードの交換によって内部に溜まったスラッジを溶かし、オイルの経路をつまらせることで却って問題を大きくしてしまうことがあります。そのため作業前にATフルードの交換の可否を整備工場に相談することを推奨します。
ATフルード交換をしても症状が改善されない、もしくはリスクの高さからATフルードの交換を断念した場合には、新品もしくは程度の良い中古のトルクコンバーターに載せ替えることで振動を解消することになります。
トルクコンバーターの修理費用は車種によっても異なりますが、ATフルード交換はおおよそ1〜4万円、トルクコンバーターの載せ替えは30?100万円ほどかかります。
CVTに不具合が生じたときも同様に、CVTフルードを交換することで加速性能や登坂性能が回復することもあります。フルードを交換をしても症状が改善されないときは、修理工場にて新品やリビルド品のCVTに載せ替えが必要になります。その場合の修理費用は、車種によってまちまちですが、CVT本体の載せ替えはおおよそ35?100万円ほどかかるようです。
(山崎龍)
トランスミッションの不具合は重大事故の要因にも!?
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